『冴えない彼女の育てかた』を見ていると、ひとつ気になることがある。
加藤恵は、いつから安芸倫也のことを好きになったのか。
英梨々や詩羽先輩は倫也への好意がかなり分かりやすい。一方、恵は感情をあまり表に出さないし、自分の気持ちを言葉にすることも少ない。
だから作中でも、「この瞬間に好きになった」と断言できる場面はない。
ただ個人的には、1期のゲーム制作中から少しずつ倫也を意識し始め、2期8話の仲直りで恋心をはっきり自覚したんじゃないかと思う。
最初は変わったクラスメイトでしかなかった
倫也と出会ったばかりの頃、恵はまだ彼を好きではなかったはずだ。
坂道で偶然出会っただけの女の子をモデルにして、ゲームのメインヒロインを作りたい。しかも本人をサークルに誘う。
冷静に考えると、かなり意味の分からない話である。
恵も最初は、倫也のことを「変なクラスメイト」くらいにしか思っていなかったんじゃないだろうか。
それでも倫也の誘いを断らず、ゲーム制作に付き合った。
この時点では恋愛感情というより、必死になっている倫也を見て、少し興味を持ったくらいだったと思う。
そこから一緒に買い物へ行ったり、倫也の家で作業したり、ゲーム制作を続けたりするうちに、少しずつ距離が縮まっていった。
恵の恋は一目ぼれではない。
同じ時間を過ごす中で、気づかないうちに倫也が特別な存在になっていた。そんな恋だったんじゃないだろうか。
倫也に本気で怒った時点で、すでに好きだった
恵の気持ちが大きく表に出たのは、英梨々が倒れたときだ。
倫也はゲームの完成よりも、英梨々を助けることを選んだ。
ただ、恵が怒ったのは、倫也が英梨々のもとへ向かったことではない。大切なことを何も相談せず、勝手に決めてしまったことに怒っていた。
恵もずっと一緒にゲームを作ってきた。
自分なりにサークルのことを考え、倫也を支えてきた。それなのに、本当に大事な場面では何も話してもらえなかった。
恵からすれば、寂しかったはずだ。
「私は倫也くんにとって、その程度の存在だったんだ」
実際にそう考えていたかは分からないが、似たような気持ちはあったと思う。
ただのクラスメイトに何も相談されなかっただけなら、あそこまで長く怒ることはない。
倫也に期待していたからこそ、裏切られたように感じた。もっと自分を頼ってほしかったし、対等な仲間として扱ってほしかった。
この時点で恵の中には、すでに恋愛感情があったんじゃないだろうか。
本人がまだ、それを恋だと認めていなかっただけだ。
2期8話の仲直りで恋心を自覚した
恵が倫也への気持ちを自覚したタイミングとして、一番大きいのが2期8話の仲直りだ。
倫也は、恵が自分の知らないところでも真剣にゲーム制作へ向き合っていたことを知る。そして恵に、何も相談しなかったことを謝る。
このときの恵は、いつもとは明らかに違う。
普段のように淡々と受け流さず、自分がどれだけ怒っていたのか、どれだけ傷ついていたのかを倫也にぶつけた。
最後には涙まで流している。
恵は感情が薄いわけではない。ただ、面倒なことを避けるために、自分の気持ちを表に出さないようにしている女の子だ。
そんな恵が倫也の前では怒り、泣き、簡単には許さなかった。
それだけ倫也が特別な相手になっていたということだと思う。
この場面で突然好きになったわけではない。
それまで少しずつ積み重なっていた感情が、一気に表へ出てきた。そして恵自身も、「自分は倫也くんのことをかなり気にしている」と気づいたんじゃないだろうか。
恵は感情が薄いのではなく、むしろ重い
恵は、英梨々や詩羽先輩のように分かりやすく倫也を取り合ったりはしない。
嫉妬しても大声で怒らないし、露骨に好意を伝えることもない。
そのせいで、恋愛感情が弱いように見えることもある。
でも実際は、かなり感情の重いヒロインだ。
倫也に相談されなかったことを長いあいだ引きずり、英梨々と詩羽先輩がサークルを離れたときには、倫也以上にはっきりと怒っていた。
どうでもいい相手や、どうでもいいサークルのために、そこまで感情を動かすことはない。
恵は表に出さないだけで、倫也やサークルのことを誰よりも大切にしていた。
静かで分かりにくいけれど、実はかなり深く相手を思っている。そこが加藤恵の魅力でもある。
加藤恵はいつから倫也を好きだったのか
加藤恵が倫也を好きになった時期を、ひとつの場面だけで決めるのは難しい。
最初は、少し変わったクラスメイト。
一緒にゲームを作るうちに、少しずつ気になる存在になる。
英梨々の一件で、自分の中で倫也の存在が大きくなっていたことに気づく。
そして2期8話の仲直りで、その感情が恋としてはっきりしていった。
こう考えるのが一番自然だと思う。
つまり、1期のゲーム制作中から少しずつ惹かれ始め、2期8話の仲直りで本格的に好きになった、もしくは自覚したということだ。
恵の恋は、ドラマチックな一目ぼれではない。
倫也と過ごす時間が少しずつ増え、隣にいることが当たり前になった。そして一度距離ができたことで、初めてその存在の大きさに気づいた。
そう考えると、最後に恵が倫也のメインヒロインになったのも、かなり納得できる。
