久しぶりに『NHKにようこそ!』を観た。
高校の頃に一度観て、そのときは「暗いけど面白い」くらいにしか思わなかった。
でも今、引きこもりを十年以上続けて、社会との距離を痛いほど感じるようになった自分が見返すと、まったく別の作品になっていた。
■ あの笑えなかった主人公は、もう他人じゃなかった
正直、1話の時点で胸が苦しかった。
散らかった部屋、カーテンを閉めっぱなしの部屋、インスタントラーメンの匂い、昼夜逆転の生活。
彼が「明日こそ外に出よう」と言って何もしない姿を見て、笑えなかった。
だって、それが今の自分だから。
昔は「やる気がない人間」だと思ってたけど、今は分かる。
あれは、やる気を出す気力すら削られていく病み方なんだ。
焦りと罪悪感が、毎日少しずつ体の中を腐らせていく。
■ 「救ってあげる」って言葉ほど、残酷なものはない
中原岬が出てきたとき、最初は希望が見えた気がした。
でも見返してみると、あの「救ってあげる」って言葉が、どうしようもなく怖かった。
彼女も壊れてた。
自分が誰かを救わないと、存在している意味を見失ってしまうような、そんな脆さ。
結局、佐藤も岬も、お互いを支えようとしながら、共依存という地獄に落ちていった。
それが現実でもよくある形だと思う。
「助けたい」「頼りたい」って気持ちは本物なのに、どちらも傷ついて終わる。
■ “変わる”ことが目的になると、人は壊れる
物語の中で佐藤は、社会復帰を目指すけど、
うまくいかなくて、すぐに元に戻る。
それを繰り返すたびに、心が削られていく。
あれを見て、「人間は、変わることよりも、“壊れないこと”のほうが難しい」と思った。
自分も何度も、「今度こそ変わる」って思っては挫折してきた。
でも、作品を見終わったあと、少しだけ思えたんだ。
変われなくても、生きてるだけで十分じゃないか。
■ 希望はなかった。でも、リアルだった
『NHKにようこそ!』には明るい終わり方なんてない。
でも、それが逆に救いだった。
この世界には「努力すれば報われる」なんて保証はないし、
「自分を変えれば幸せになれる」なんて言葉は、ほとんど嘘だ。
だけど、それでも人は、生きていく。
ご飯を食べて、音楽を聴いて、少し笑って、また眠る。
それを繰り返すこと自体が、もう奇跡なんだと思う。
■ まとめ ― それでも、今日を生きる理由
再視聴して思ったのは、
この作品は「社会の闇」なんかじゃなくて、
“誰の中にもある弱さ”をそのまま映した鏡だってこと。
僕もまだ外に出られない日がある。
人と話すのが怖くて、何もできない日もある。
でも、『NHKにようこそ!』を見て思った。